感想置場。たまにひとりごと。
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Mon
2012.04.16
15:11
 
以下ネタバレ感想

 

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サブタイトルを素直に「約束」とせずにわざわざ「心中立て」にした意味を考えてみようか。

松陽が縛られた手で作った約束の形(左手小指を立てる)には髪の毛という明確な証は絡んでいなかったけれど、それをずっとずっと律儀に護り続けている銀さんが、今までの既刊コミックスを読み返すだに切なくなってくる。

松陽が交わした約束には二つあって、ひとつは「きっとスグにみんなの元へ戻」ること、もうひとつは「仲間を、みんなを護ってあげ」ること。

ここで作中での心中立ての意味をおさらいする。
第三百八十六訓「傾城逆転」においては遊女と客が交わした約束のことだった。
・私の愛はあなただけのものです。私はけっしてあなたを裏切りません。
残念ながらほとんどが金のための手管でしかなかったが、傾城と呼ばれた鈴蘭を評して日輪はこう言った。
「それでも一夜の夢から覚めたくないのかもしれない」

鈴蘭と舞蔵が交わした心中立ては意に逆らえぬ将軍定々によって妨害されてしまったわけだが、それでも二人の「約束」は生きていると思わせられる。鈴蘭はいまだ吉原の現役を貫きとおし、舞蔵も幕府に在り続けたからだ。鈴蘭は満月の晩に再会を約束したが現れなかった舞蔵を、鈴蘭は律儀に待ち続けたように<見えてしまう>。舞蔵は自分の過去をむかしばなしとして大事な姫様に話すことで、自身の覚悟を決して忘れぬように<見えてしまう>。
二人の本音が二人の口から直接いまだ語られていないのがポイントで、ただたんに鈴蘭自身が吉原から離れることで幕府から命を狙われる危険性を察知していたからかもしれないし、舞蔵も過去は過去として過ごしていたのかもしれない。そこは全く分からない。だけど、描写の端々から二人の約束・・・心中立てが生きているように見える。

約束を反故にすることはすなわち裏切りにも直結してしまう。
それは将軍たる定々の命を絶対的に守ることにも当てはまる。故に前回定々は裏切り者だとののしった。

ならば松陽の場合はどうだろう。
「みんなの元に戻ります」という約束は果たされなかった。そこには敵方たる幕府および天人という圧倒的な存在があった。ここは鈴蘭と舞蔵に対する将軍定々に相当する。
だけどもうひとつの約束「仲間を、みんなを護ってあげてくださいね」は、今の銀さんに確実に受け継がれているんだよね。それは既刊コミックス相当分の描写を見れば分かる。目の前にいる仲間を放っておけないのも、知らない誰かの依頼を引き受ける万事屋を立ち上げたのも、なんだか知らないうちに巻き込まれた事案でもなんだか関わってしまうのも、全ての根幹はここにあった、んじゃないかな。たぶん。
肝心な松陽が殺害され、一夜の夢のようにあっけなく終わりそうな約束が、ここに生きている。ただ単に夢から覚めたくないだけなのかもしれなくとも、それは確実に生きる意味になる。

ラストページの銀さんのセリフは、とてもとても珍しく貴重な銀さんの本音でした。先生ェェェ!という叫びより「約束だぜ」の表情の方が大きいコマだったのが実に印象的。
これが重要なんだな、と。

その前のページは第三百九十三訓「大獄」の再現ですね。動きたくても動けない。
だけど終わっちゃいない、失っちゃいない、まだ動く。まだ手が届く。
だから、「約束」は生きている!

銀さんの指に絡まった色々な人の髪の毛・・・それは交わした約束の多さであり、かつて松陽が言った「仲間」「みんな」が松陽を取り戻さんと戦った攘夷戦争時代の仲間だけにとどまらなくなってる(銀さんが桂や高杉のように攘夷の悪夢から離れられたのもそこにある)。それから先もずっと見通した約束になってるのが素敵でした。


今回の話は、銀さんの根幹=魂をさらけ出した回でした。

「侍が動くのに理屈なんていらねーさ。そこに護りてェもんがあるなら剣を抜きゃいい」
(第一訓「天然パーマに悪い奴はいない」)

銀さんの行動理由は、すごくすごくシンプルに「護る」こと。
「せめて目の前で落ちるものがあるなら拾ってやりたい」「客の大事なもんな俺のの大事なもんでもある。そいつを護るためなら俺ぁなんでもやるぜ!!」
これを貫きとおす理由が今回の話だったんじゃないかな。
とはいえ、第一訓段階では一人だったわけで、「俺にはもうなんもねーがよォ」だったのが40巻を越えた今はそうではなくなってるのが実に面白いですね。


紅桜編ラストで桂が見せた松陽の書いた教科書を「ラーメンこぼして捨てた」と答えた銀さんを思い出してしまいました。
本自体は捨てたとも大事にとってあるともどっちともとれる。
ところが第三百九十六訓を読んだ今となっては、銀さんにとって松陽に教えられた最大の事柄は教科書自体ではなかったのだな、と思った。教科書は松陽の思想の象徴かもしれない。だけど銀さんが松陽から教わった最大の事は、みんなを護ることだったのかもしれない。



結局、朧は銀さんの白夜叉としての過去を引き出すトリガーだったんだなあ。
この方が出なければ、鈴蘭と舞蔵の約束を果たすための人情物語だったかもしれない。
一国傾城篇と呼ばれるこの話は、銀さんという頑なに本音を語らない城の一角を崩す話だったりして?
松陽先生が思いのほか女性的に描かれていたのにちょっとびっくりでした。


ホント面白かったです。
アニメで見たいなー・・・



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テーマ * 銀魂 ジャンル * アニメ・コミック
Category * 銀魂@WJ
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